契約の成立・約款論:返品要求は拒否できるか

当方プリペイドカードの販売を行っています。偽造カードによる詐欺が多発しているため、発行元より、「返品は約款上いたしかねます。返品をご希望の際には発行元にご連絡ください」と告知するように指導がありました。このような告知は有効なのでしょうか。また返品の要求を拒むことは可能でしょうか。

定型的に行われる物品やサービスの提供に関する取引条件の確定のために約款を作成するということがよく行われています。現在は民法548条の2以下に定型約款の規定があります。定型取引に当たる場合、定型約款を契約内容とする旨の合意があるとき、又は約款準備者があらかじめその旨を相手方に表示したときには、原則として各条項への合意が認められます。ただし、相手方の権利を制限し義務を加重する条項で、信義則に反して一方的に利益を害するもの等は別に扱われます。消費者契約法による無効も確認します。返品というのは、法的に評価すれば、「売買契約を合意解約して目的物と代価を相互に返還する」ことを意味します。つまり返品というのは、お互いが合意して成り立つもので、販売者側でも、購入者側でも、その一方的な意思により返品を要求することはできません。権利として要求できるのは売買の目的物が契約の内容に適合しない場合等や、履行が遅延した場合のみです。 そのため売り渡したプリペイドカードがそれ自体が偽造品であったという場合でなければ、民法上、返品に応じる義務はありません。つまり御質問の例では、約款を引き合いに出すまでもなく、もともと返品は拒否できるという結論になります。

以上は購入者都合の任意返品の説明です。契約不適合、錯誤・詐欺による取消し、通信販売の返品特約・返品制度、前払式支払手段の発行業務廃止時の法定払戻し等の権利がある場合は別に検討します。