ネット事業 (13)

川内 康雄

アダルトサイトの運営:合法的に運営するための注意事項は何か

(公開用) ご質問のような会員制の成人向け動画・静止画の有料配信では、風営法の「映像送信型性風俗特殊営業」として営業開始の届出を行う必要があります。18歳未満を客とすることは禁止され、会員制の場合には映像を見せる前の年齢確認等も必要です。届出をしても、わいせつな映像や児童ポルノ、違法に撮影された素材の配信が認められるわけではありません。 風営法2条8項は、性的な行為や衣服を脱いだ人の姿態の映像を、専ら性的好奇心をそそるために、電気通信設備を用いて客に見せる営業を定義しています。静止画も含まれます。本件のような成人向け映像を中心に配信するサイトには、広くこの届出が必要になると考えます。 同法31条の7に基づき、事務所の所在地を管轄する公安委員会への届出が必要です。警察の手続案内では、営業開始予定日の10日前までに提出することとされています。事前に管轄警察署で日程と提出方法を確認しましょう。 警視庁の案内では、届出書のほか、営業方法を記載した書類、事務所の使用権原を示す資料、住民票、法人の場合の定款・登記事項証明書等が挙げられています。届出は配信する作品を個別に適法と認定する手続ではありません。 風営法31条の8第2項は18歳未満を客とすることを禁止しています。ID・パスワード等を入力させて映像を提供する形態では、同条4項により、客が18歳以上である旨の証明、又は18歳未満が通常利用できない方法で料金を支払う旨の同意を、映像を伝達する前に受けなければなりません。 警察庁の解釈運用基準は、年齢の自己申告だけでは証明として足りないとしています。一方、要件を満たす支払方法への同意の例として、クレジットカード決済への同意を挙げています。アダルトサイトに本人確認書類を送ることには利用者の抵抗が考えられ、筆者の実務的な見立てでは、書類送付による年齢確認の実施は事実上難しいと思われます。そのため、実際には支払方法への同意を受ける方法を用いることになるでしょう。サイトの利用料金がクレジットカードで決済されることを利用者に通知し、その上で申込みを受ければ、同条4項の同意を受けたといえるでしょう。 本人確認をしない形態には、同条3項の料金徴収委託に関する別の規定があります。ここで4項を形式的に適用すると、会員登録前にはサンプル画像も送信できないことになります。この点は解釈基準による整理が望まれますが、筆者は、実務上、登録前のサンプル送信は3項の「客の本人確認をしない」類型に準ずるものと解釈し、4項の伝達禁止は適用されず、その項に基づく「伝達してはいけない」という義務は負わないと考えます。これは登録前サンプルについての筆者の解釈です。配信内容や広告に関する他の規制には従う必要があります。 刑法175条は、わいせつな記録の送信による頒布や、有償で頒布する目的での保管等を処罰の対象にしています。会員制でも、不特定又は多数の顧客への提供という問題は残ります。最高裁も、顧客のダウンロード操作に応じた自動送信による提供について、同条の頒布に当たると判断しています(2014年11月25日第三小法廷決定)。 また、児童買春・児童ポルノ禁止法の児童は18歳未満です。同法2条・7条により、児童ポルノの提供や、提供目的の製造・保管等も処罰されます。出演者が現在成人していても、撮影時の年齢確認は欠かせません。 さらに、性的姿態撮影等処罰法は、盗撮等だけでなく、それによって作られた記録の提供や提供目的の保管、一定の無断送信等も処罰します。入手先が「本人了承済み」と説明していても、それだけで判断せず、撮影と公開の経緯を確認してください。 性行為映像制作物には、AV出演被害防止・救済法が適用されます。出演契約を結ぶ制作公表者には、契約・説明書面等の交付、書面等の交付から1か月を経過するまで撮影しないこと、公表前の映像確認の機会、すべての撮影終了から4か月を経過するまで公表しないこと等が求められます。配信だけを担当する事業者でも、差止請求への対応が問題になります。 出演者の任意解除期間は契約日で異なります。2025年6月23日以降の契約は原則として公表から1年、2022年6月23日から2024年6月22日の契約は公表から2年です。2024年6月23日から2025年6月22日の契約は、公表から1年又は2026年12月22日のいずれか遅い日まで解除できます。施行前の契約には適用範囲の違いもあります。内閣府の案内と契約日を照合し、停止の申出を受ける窓口、委託先への連絡、配信を止める体制を整えましょう。 風営法31条の8第1項が準用する28条には、学校・図書館等の敷地の周囲200メートルの区域等での看板などの表示、ビラの配布方法等の規制があります。住居へのビラの配布や差入れなどにも規制があり、ウェブ広告を含む広告・宣伝では18歳未満が客となれない旨の明示等にも注意します。広告方法と地域の条例を個別に確認してください。 有料配信には通信販売の規制も関係します。特定商取引法11条・12条の6に沿って、事業者情報、料金、支払方法、提供時期、解約条件等を表示します。月額会員制では、自動更新、追加料金、解約の方法・期限と解約後の視聴範囲を分かりやすく示しましょう。申込み直前の画面でも必要事項を確認でき、申込みになることを誤認させない表示が必要です。詳しくは消費者庁の通信販売ガイドを参照してください。 作品の仕入れ時には、著作権法21条・23条の複製・公衆送信に必要な権限があるか、契約で確認します。また、年齢確認資料を収集する場合は、個人情報保護法17条・21条・23条に沿って利用目的を定めて明示し、個人データの安全管理を行います。保存期間や閲覧できる担当者も決めておくとよいでしょう。 開設前に、配信内容、出演者の年齢と契約、年齢確認の画面、広告、料金・解約表示をまとめ、管轄警察署やインターネット事業に詳しい弁護士に確認してください。 基準日:2026年10月23日。更新履歴:届出、カード決済同意、登録前サンプルに関する筆者の論旨を維持し、最新の根拠資料、配信内容、出演者保護、有料契約の表示等を補足しました。

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川内 康雄

レンタルサーバー内のアダルトサイト:第三者が違法画像を掲載した場合の削除の要否

当社ではアダルト利用可能のレンタルサーバー事業を営んでいます。ある時匿名で当社宛に、当社のサーバー上にいわゆるモロ画像や児童ポルノをサーバーにアップされているとの連絡がありました。確認してみると当社のある顧客がアダルト系の画像掲示板を設置しており、その利用者がそのような画像を書き込んでいたようです。当社としてはどのような対応を取るべきでしょうか。またこういったことがないように定期的に顧客のサイトを確認した方が良いのでしょうか。 風営法(風俗営業法・風適法)の第31条の8第5項において、レンタルサーバー事業者等の自動公衆送信装置設置者は、サーバー内にわいせつ画像や児童ポルノが掲載されているのを発見したときには、その送信を防止するよう努力することが規定されています。 警察庁の解釈運用基準(下記参照)では、「わいせつ」とは刑法175条の「わいせつ」を指すとされていますので、アダルトサイト関連では、いわゆるモロ画像がこれにあたると判断して良いでしょう。また「児童ポルノ」は児童ポルノ法の「児童ポルノ」を言うとされていますので、18歳未満の児童に係る法律2条3項各号の性的な姿態等を描写したものが該当します。裸の写真全てが自動的に該当するという定義ではありません。 上記の義務は条文上は努力義務に過ぎませんが、第31条の9第2項に改善勧告規定が定められていますので、誠実に遵守した方が望ましいでしょう。 実際の対応としては、レンタルサーバー事業者の立場から法的に可能な限度の措置を行うことになります。たとえば契約者に連絡をして修正するよう求めたり、契約(規約・約款)上可能であれば、利用停止を行ったりすることになります。 なお掲示板であれば契約者が書き込んだわけではありませんが、上記の対応は必要性は変わりません。 レンタルサーバー事業者が契約者のサイトを確認すること(スクリーニング・パトロール)は原則としては不要です。電気通信事業者は本来の法律の趣旨からすれば、通信の内容には関わらないことが求められています。電気通信事業法の3条で検閲の禁止が定められているのもその現れです。もっとも上記のように過去に違法な情報を送信したことがある事業者については、法的な義務ではありませんが、後々のトラブルを防ぐためにも、定期的に内容を確認した方が良いでしょう。内容のアップロードを許可制にしたりしない限りは、レンタルサーバー事業者が契約者のサーバー内容を見たとしても検閲に該当することはありません。 なお著作権侵害コンテンツの場合には違法なコンテンツの存在を認識しているにもかかわらず放置した場合に共犯として逮捕された事例があります。法的な理屈は猥褻画像でも同じですので注意が必要です。警察庁の解釈運用基準https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoantsutatu2/R080701kaisiyaku.pdf“”” 削除等の対応では、公開ページの確認と非公開の通信・保存内容へのアクセスを区別し、通信の秘密、契約、証拠保全にも配慮します。現在は、わいせつな電磁的記録の送信による頒布も刑法175条の対象です。単にサーバーを提供する立場でも、具体的な違法投稿を認識した後は放置せず、送信防止措置の可否と必要性を速やかに検討します。

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川内 康雄

海外サーバーを使用したわいせつ画像の配信:海外サーバーを使用すれば逮捕されないのか

アメリカではインターネットでいわゆるモロ画像を配信しても違法ではないと聞きました。そこでアメリカのレンタルサーバーを使用して、日本国内向けにモロ画像を配信するアダルトサイトを開設しようと考えています。問題はありませんよね。 結論としてはあなたが摘発される可能性は十分にあるということになります。 米国にサーバーがあることから、米国法上も当然に適法と決まるわけではありません。米国法の適用は本稿の検討対象とは別ですが、日本法上の責任は以下のとおりです。 一方、日本の刑法では175条により、モロ画像はわいせつ物として規制され、配信するとわいせつ図画公然陳列罪により処罰されます。 日本の刑法の解釈では、犯罪の実行行為の一部でも日本国内で行われていれば、刑法上の犯罪が成立するものとされています。インターネットで画像を配信する場合には、通常はローカル側のPCからリモートのサーバーにアップロードし、閲覧者からのリクエストがある度に閲覧者のPCに配信されるという手順になります。同様の問題が争われた事件の裁判例において、裁判所はアップロード行為が日本国内から行われている場合には、実行行為の一部が日本国内で行われているので、日本国法で処罰可能と判断されました。実際、この事件では国内からアメリカのサーバーにわいせつ画像をアップロードして配信した者に対し有罪判決が下っています。 なおアップロードする人間がアメリカに行き、アメリカ国内のパソコンからアメリカのサーバーにアップロードした場合には、この部分について日本法の適用の余地はありません。しかしわいせつ画像の表示という結果は日本国内で発生することになり、法律の理論上は犯罪が成立することになります。捜査機関が摘発の必要性が高いと判断した場合には、国際捜査共助による身柄引渡が行われたり、日本国内に入国した時点で身柄が拘束される可能性があるでしょう。 現在の刑法175条は電気通信の送信によるわいせつな電磁的記録等の頒布を明文で規定しています。したがってサーバーが国外にあることだけでは、日本国内向けの送信に日本法が適用されないという結論にはなりません。

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川内 康雄

アダルトサイトのアフィリエイト:違法画像へのリンクは違法か

私のサイトではアフィリエイトリンクバナーを多く設定して、一定の収益を上げています。アダルトサイトへのリンクが一番収益性が高いですから多くのリンクを張っているのですが、ある時自分でクリックしてみると、いわゆるモロ画像が掲載されたサイトになっていました。このようなサイトにリンクを設定したことによって捕まったりする可能性はあるのでしょうか。 日本法上いわゆるモロ画像を配信するとわいせつ図画公然陳列罪(刑法175条)により処罰されます。 もっともこのような違法なサイトに対してリンクを張っただけでは、自分自身がわいせつ図画を公然陳列したことにはなりませんので、処罰されることはありません。ただしリンク先が違法なサイトであることを知りながらリンクを張ったり、後に違法なサイトであることを知ったにもかかわらずリンクを消去しなかった場合には、わいせつ図画公然陳列罪の幇助犯(刑法62条)として処罰される可能性があります。実際にこれまでの裁判例でもリンクが幇助行為に該当すると示された例がありますので注意が必要です。 現行刑法175条には、電気通信の送信によるわいせつな電磁的記録等の頒布も規定されています。リンクを単に置いただけの場合と、違法な頒布を認識してアクセスを誘導・援助する場合を区別して検討するという点は変わりません。

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川内 康雄

ネットショップの運営:ECを行う際に遵守すべき法令

当社は寝具の製造・販売会社です。今般インターネット上で製品を販売することとなりました。楽天等のモールではなく、自社のサイトで販売を行っていく予定です。サイトを制作する際には、どのような法律に気をつけるべきなのでしょうか。 ショップを継続的に運営していくのであれば、少なくとも以下の法律に対応したサイト構築を行わなければいけません。 ネットショップは多くの場合、特定商取引法の適用対象となる「通信販売」に該当します。2009年の法令改正前は特定の商品以外は対象ではありませんでしたが、改正により原則あらゆる商品が法律の対象になります。https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/ (消費者庁)その他にも、誇大広告の禁止、前払式の通信販売における一定事項の通知義務、意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止が規定されています。 特に意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止に関しては、申込画面の構成に関するものですので、画面構成、画面遷移を作成する場合には注意しておく必要があります。申込時の画面構成や画面遷移を作成するにあたっては電子契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)にも注意しておく必要があります。これは申込内容等を意思を確認するための適切な措置を設けていない場合には、原則として操作ミスについて民法の錯誤による取消しを認める特例を定めるものです(同法3条)。 ネットショップは消費者向けに商品やサービスを提供する場合がほとんどと思われますが、この場合消費者契約法の適用対象にもなります。・契約上の重要事項(用途・質・価格などの取引条件)について虚偽の内容を伝える (例:事故歴がある自動車について事故歴が無いと表示する)・対象商品の価格変動について断定的な判断を提供する (例:金を販売する際に必ず値上がりすると表示する)・契約上の重要事項の不告知 (例:事故歴がある自動車について事故歴を表示しない)以上の様な行為があった場合には申込をした消費者は申込を取り消すことができます。””” 2022年6月1日から、通信販売の最終確認画面で数量、価格・送料、支払時期・方法、引渡時期、申込みの撤回・解除、申込期限等の法定事項を明確に表示する規制が適用されています(特定商取引法12条の6)。定期購入では各回の内容・総額等も分かるようにします。注文を確定する前に、入力内容を確認・訂正できる画面を用意します。 顧客情報の取得については利用目的の事前明示、安全管理等も必要です。広告・表示、返品条件、個人情報の取扱いを、実際の販売方法と一体で整えます。

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